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鎌倉・由比ヶ浜の『みんなの駄菓子屋』なみへい。


by taiyaki-namihei

ちょっと(かなり?)社会派な、なみへい食コラム。

おはようございます!

鎌倉 一丁焼き たい焼き なみへい 濱田紳吾です。


本日は月曜・定休日でした。






昨晩、日曜日の夜は、

僕が唯一夜更かしできる夜。

久々に新聞の整理をしていた。


社会面は、相変わらず暗い話題が多い。

そして、経済面でどうしても僕の目に留まってしまうのが


”穀類など食品の一斉値上げ”


の記事だ。



実際、なみへいのコーヒーの仕入れ値も2割ほど値上げされた。


しかし、これはうちが取引しているコーヒー会社の社長さんの

うちがまだ駆け出しだからという情状酌量の値上げ幅であって、

一般的な値上げ幅はこれよりさらに5%上だ。


なにせ家畜のえさになる穀類は世界的にすべてあがっている。


とうもろこしがその最たるもので

小麦もふすまががその餌となるので

ガンガンあがっている。


中国の経済成長イコール、

食品全般の値上がりと言っても過言ではない。


自給率の低い日本は

もちろんモロ影響を受ける。




どんな??



まともな食品は

値上がりを。



そして、



安い工業製品の食品は

質の低下を。



アジアの成長が喜ばしい半面で

日本が戦後のアップダウンの教訓を

食というフィールドを通じて、

示せなかったのは非常に残念である。



食肉1キロを作るために、

8キロの穀物が必要だ。



ご馳走イコールお肉をメインとしたメニュー、

そのすりこみが絶対人口の多いアジアで

その比率に単純に需要が拡大すると

それは爆風のような食料難に直結してしまう。



加えて、温暖化による地球全体の天候不順で

穀類全体が危ういのだ。


既に真綿を首で絞められるような

貧困農業国の苦しさは深刻になっていて、

特に子どもと女性の非力層が味わう辛酸は

命・・・生が続く限り、彼らとともにあるのかと思うと

日本と距離があるところで起こっているとはいえ

とめどもない悲しみが僕を襲う。



1/30の朝日新聞に

2冊の本が紹介されていた。


ハーフ・ザ・スカイ

告発・現代の人身売買 奴隷にされる女性と子ども



紹介文によると、

インド・パキスタンなどを中心に

口減らしと一時の金銭獲得のために

少女たちが売られたりするケースが急増しており

また、生活に苦悩した母親たちが

身売りしか生活を支える方法がなく、

現代の奴隷として苦しんでいる。

その数、3000万人以上・・・



こういった女性の悲劇の話に、

僕は本当に心を痛めている。



しかし、この傾向は

日本の中でも密かに、そして確実に

広がっていること。


具体的に、そして単刀直入にいうと、

この成熟しきった、

そして、

経済の低調が長期化していく日本において、

母子家庭で子どもを育てている女性たち。



豊かな(表面的にも、実質的にも)

この国・日本で

何ともいえない

取り残された孤独感と戦いながら

耐え忍んでいる。





「新卒ですら就職難なのに、

離婚・子持ちの

女を雇ってくれるような

余裕と慈悲のある会社なんてないわよ!

実際なかったわよ!!」


と、自身の体験から、

一緒になみへいを運営している

我がパートナーは振り返った。




「私には娘と

わずかな貯金と鍋一個と包丁一本と・・・

そして、

数少ないある程度の友人しか残っていない・・・」




離婚直後の彼女はよくそう言って泣いていた。



「これじゃあパンやお菓子のお店は絶対無理。

鍋があるから、天然酵母のドーナツ屋なら

かろうじて開けるかも・・・」



実際、泣きながら

時間を切り売りして

朝も昼もなく、働いていた時期があった。


その時期は、

一流私立大学卒業後、

金融機関を経て、商社勤め・・・

そして、自ら経営者の経験もあり、

という世間から見ると華やかな職歴も

ほとんど役に立たなかった。



まだお留守番できないえれなを

職場の近くで何時間も待たせたりして


(と言うか、えれながどうしてもお母さんに会いたくなって

何時間もかけて彼女の職場を探し当てた挙句、

その近くでお母さんがでてくるのをひたすら待っていた。)


こらえきれなくなって

ただただ娘の手を握って、

就業後、あてもなく散歩したことも

あったりした。



「このままじゃワーキング・プアーが加速しちゃう!

これから先、もっと歳をとっていくのに・・・

今何とかしようと目標を持たなきゃ!」




一時の解決方法に

自分をごまかそうとしなかったのが

彼女の現実的なところ。


結局、いろんな経緯があって

僕となみへいを運営することになったのだが

その意志の強さあってのなみへいだ。



僕と彼女は約束している。




将来、もっと歳をとって、

たい焼きを焼くのも

ハードな仕事をこなすのも大変になったら、

二人でみんなの居間と台所になれる

定食屋を細々とやろうね。。。

と。




細々としているけど、

サービスは僕がやるから、

洗練されていないかもしれないけど、

きっと最高だよ!


と僕が言うと、


彼女は嬉しそうにニコっと笑ってくれた。



料理は弱者の気持ち知る彼女が作るのだから、

この上なく、あったかい食だろう、と

僕は確信している。


でも、軟弱い癒し料理などではなく

味もガツンとした明日の活力をくれる

確実に元気になれる励まし料理だ。


僕も、この励まし料理に励まされて

今日までやってきた。


吐露すると、

僕は彼女に出会うまで、

相当な偏食だったし、


食に対する関心が淡白だった。


「ねぇ、これ食べてみない?」



そのころの僕は、

自分の好きなものを好きな時間に

好きなだけ食らっていた。



”食べ物の幅は、その人の人間の幅”

というが、

僕は実に幅の狭い人間だった。



食わず嫌い、というか、

食わず無関心。


このかつての僕は、

ある意味、現代の孤食の生活をしている

大半の男性に言えることだろう。



人と食事をすることと、

「これ、食べてみない?」

と心ある人に言ってもらうこと。


これはとても大切なことだと思う。


ちなみに、僕と彼女は

細々とした定食屋をやる前に

料理教室をやらないとね、

といつも話している。


それは、おしゃれな料理教室というよりは、

主に中高年のひとり者を対象にしたような

料理教室で、家で一人で調理するのは

寂しいだろうし、料理のノウハウもわからなかったりするだろうし

野菜をはじめとする食材の知識も

これまでの人生で

学ぶ機会が少なかっただろうから・・・。


「ほうれん草っていうのはね、もともと・・・」


そういう話をコツコツ僕と彼女がしながら、

じゃあ、ほうれん草は何分ゆがけばいいのか?

とか、それはなぜなのか、とか。


意外と大切なのに主婦も知ってるような

知らないような話をしながら、

たとえばほうれん草とチキンのカレーをその場で作り、

お持ち帰りようにほうれん草のグラタンを作り、

翌朝用、あるいはそれ以降の常備菜用に

ほうれん草のナムルとおひたしを作り、

それを持ち帰り家路に着く。



そんなみんなで自分に必要なものを調理する空間。



そして、

また、孤食にならないように

僕らの料理教室に

戻ってきてみんなで一緒に飯を作って、

食卓を囲む。



別に僕らだけでなくっても

これはやる気がある人がいれば

それぞれの地域の公民館など借りて

出来ることなのですけれどね。


なにも野菜ソムリエの資格などとらなくても。



とにかく、うつ病にならずに健康に長生き、

そして、ある日安らかに・・・

の秘訣は、自分で料理して、

右脳と左脳のバランスをよい状態に保つのが、

一番効果があるという。


100歳老人はほとんどの人が、

手首に負担のかからぬ

軽いアルミ鍋などの調理器具を使って

当たり前のように料理をするそうだ。


定年前の男性に聞いたアンケートによると、

定年後やってみたいコト、

第二位は料理、第一位は農業・・・

それが興味深い、ということは

以前このブログでもふれた。


なぜか?


経済的な自立がしたいから、

という実に端的で切実な理由。



農業は狭義の、そして

料理はそれをものすごく広義のものに

してくれるので

僕とパートナーは

まず料理のすばらしさ

そして、料理した後に


みんなで食卓を囲むことの

素敵さを心底体感してから、

もし可能なら、農業する、

というのが理想的だと思っている。



本気で農業はじめよう、

自給自足しよう、というには、

数千万円は軽くかかってしまうのが

現実だ。



そこまでしたところで

今何を育てているのか?

もし世界の名だたるシェフだったら

これをどう調理するだろう?

そういったことを連想しなくて

自給自足のために農業をやっていても

閉塞感にやられてしまう人が大半なのが現実だ。




話せば長くなるが、

僕の母方の実家は兼業農家で

兼ねている職業は耕運機など

農業関係の機器販売。

農業がいかに非効率で儲からず、

金が回収できないか、

ということを見てきた。


そして、パートナーは

幼少のころ、母親の実家に預けられ

朝4時より農作業の手伝いをしてきた。



だから、野菜のことは

身をもってよく知っているし、

その後の料理の感性・知識と直結している。



そして、僕らのこういったバックグラウンドと思いは

未来に向けてコツコツした食の活動に

繋げていかなくてはいけない!と、

心の中ではいつも思っている。


極端なことを言うと、

小学校で読み書きそろばんを教える前に、

一ヶ月にたとえひとつの食材についてでもいいから、

真剣に勉強するカリキュラムがあってもいいのではないか、

それくらいに思っている。



今月はしいたけについて!

来月はじゃがいもについて!


そんな感じで・・・。


イギリスには、ジェイミー・オリバーという

食育革命をそのカリスマ性で投げかけた

スーパーイケメンシェフがいるが

日本の場合、その人口構成比率からしても

かつて企業戦士で燃えた

中高年の男性が

地域に根付いて

地道にその役割を担えばいいな・・・

と僕らは願っている。



人に伝えることによって

自分も生涯勉強できるし、

なにより老けないし。


調理方法を勉強すれば

お肉をガツガツ食べることが

最上の食の楽しみではなく、

ほんとにスーパーハッピーな食べ方って

世の中を変えるよね!




供給はそれを求める需要で成り立っている・・・


そんなことを次世代に伝えていけると思う。




成熟した国には、成熟した国の役割があると思う。



グッドバランスな食材使いの料理で

みんながヘルシーに生活している

ほんとの意味での”先進国”



それには食材・料理に関する

大勉強会が必要だ!!


徴兵制がない、つまり戦争に参加しないだろうから・・・

というのなら、

どうして世界的な争いが起こるのか、

貧困の差、そして、搾取へとつながるのか

ということに対する地道な対立と解決方法を

実践してます、という草の根の取り組みがないと!


子どもは理解できないし、

老いていく大人はドンドン我よし主義になって

殻に閉じこもるし・・・



少年たちが大志を抱くのも

中高年が生き甲斐をなくさないのも

なにか具体的な活動がないとなかなか難しい。



僕はとにかく、

みんなに、食は世界を変えるすごいものだよ!

ということを、

命ある限り訴え続けたい!



そのために、なみへいをコツコツ続けるのみ!



そのなみへいに・・・

そんな思いに共感してくれたり

賛同してくれる人が徐々に集うことを

密かに願っている。
by taiyaki-namihei | 2011-03-07 22:42 | なみへいコラム | Comments(0)

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